<着床とは?受精から着床までのメカニズム>妊娠成立前の着床前診断&妊着床障害の基礎知識

妊娠
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受精から着床までのプロセスは、とても複雑。卵子と精子が相互に作用し、受精卵、子宮、ホルモンなどのあらゆる相互作用があってはじめて妊娠が成立するといわれています。じつは着床のメカニズムは医学上明確になっていない部分も多くあります。妊娠するために欠かせないプロセス「着床」について考えてみましょう。

着床とは?

着床とは受精卵が子宮内膜に吸着すること

着床とは、受精卵が子宮内膜に吸着してもぐりこむことをいいます。受精から着床までのプロセスは、卵管膨大部(卵管の卵巣側の端の方)で卵子と精子がタイミングよく合体し受精卵となった後、卵管を通りながら猛スピードで細胞分裂を繰り返し、子宮へと到達します。

その後、子宮内部に到達した受精卵が、子宮内膜に根をおろすように吸着します。妊娠するためにやわらかく整った子宮内膜にその受精卵が潜り込むと、無事着床となるわけです。このプロセスが完了することを着床と呼んでいます。受精から着床までは約1週間かかるといわれており、着床して初めて妊娠となります。

この時、卵管が詰まっていたり、何らかのトラブルにより子宮内膜ではなく、子宮内膜以外に着床することを子宮外妊娠(異所性妊娠)と呼んでいます。精子や卵子の形成、成長、排卵、 受精などに比べ、「着床」のメカニズムは、まだまだ未知の部分が多いといわれています。

受精から着床までの流れは?

受精の場所は卵管です。卵管は女性の子宮から左右に伸びており、卵管の中で精子は2日から3日生存できるといわれています。この間、卵管へたどり着いた精子は、卵巣から卵子が出てくる(排卵)のを辛抱強く待ちます。もし精子が排卵の後に、受精する場所である卵管の端にたどり着いたとしても、排卵から12時間以内なら卵子との受精が可能といわれており、精子は卵子へと向かって真っすぐたどり着きます。

ひとつの卵子を受精させるのに、何億個もの精子がつくられています。それは、精子の生存競争が極めて激しいものであるからといえます。射精された何億個の精子のうち卵管の中、卵子の近くまでたどり着けるのは、数百にすぎないといわれています。

また、卵子の近くにたどり着いたとしても、卵子の周囲を覆っている透明帯と呼ばれる分厚くて固い膜が精子の通過を阻みます。この膜を突破するためには、精子の先端にある酵素「ヒアルロニデース」という特別な働きが必要といわれています。この精子が持っている酵素を持って、卵子の膜を突破するために、何個もの精子が透明帯に挑んでいきます。

数々の精子が突破を試み、到達できない中で、最も幸運な一個の精子が、ようやく卵子の中に入ることができるのです。精子が透明帯と呼ばれている卵子の膜を通過して、卵子の中に入るときには、精子は頭から卵子に向かって突入していきます。頭が卵子の中にすべて入ると、尾は外側に取り残されるのです。

一匹の精子が卵子の中へ入ると、それ以上の精子が入ることができなくなります。卵子を覆っている透明帯の性質が変わってしまい、他の精子をシャッタアウトしてしまうのです。このように、卵管の中で放たれた卵子とそこで巡り合った精子には、一つの卵子に対して、一つの精子が入る、という複雑な仕組みができてます。

ひとつの精子がようやくひとつの卵子の中に入ることができた後、わずか数時間の間には、卵子と精子の遺伝子を持った2つの核が大きくなります。卵子の真ん中に移動すると、最終的に2つの核が癒合して1つの核になり受精が完了します。

無事に受精を終えた受精卵は、急速なスピードでどんどん細胞分裂を繰り返して増えていきます。この休息な細胞分裂と赤ちゃんの体の形成のうち卵管の中で起こるのは最初の数日だけとわれています。受精した卵子である受精卵は受精後3日間かけて子宮に運ばれ、卵管からはその間、受精卵に必要な栄養、酸素その他受精卵の発育に必要な物質を供給し続けるのです。

受精から着床までの期間ってどのくらい?

受精から着床まではおよそ7日といわれています。ちょうどその頃は、月経周期が定期的な場合、月経が始まってから数えると着床するのは21日目頃となります。

精子が卵子の中へ取り込まれて受精が完了すると、その3日後には子宮に到達するといわれています。この受精卵は子宮に入って7日目までは子宮の内側に浮遊しているようです。受精後7日目になると、受精卵の表面に絨毛という小さな根のような組織ができ、受精卵は近くのもぐりこめるところに根を張ってもぐりこみます。

この受精のタイミングは非常に重要といえます。例えば、子宮の入り口から外に出てしまっていたり、子宮の中にたどり着くのが遅すぎると妊娠できなかったり、卵管の中にもぐりこんでしまい、子宮以外の場所で着床してしまうことになります。これを、子宮外妊娠(異所性妊娠)と呼んでいます。

着床のタイミングで、受精卵が子宮の中にいれば、無事に着床することができるといえます。受精卵は、受精卵を受け入れる体制が整った厚くなった子宮内膜に到着し、着床することができます。つまり、子宮内膜にもぐり込んだ受精卵は、絨毛をはやし、子宮内膜の一番表面の細胞を溶かします。受精卵がさらに深くへもぐり込むための準備をするためです。

さらに絨毛はどんどん子宮内膜の奥にもぐりこみ、お母さんの血管から胎児の発育に必要な栄養や酸素を受け取るようになります。このプロセスが完了すると、受精卵が着床したといいます。受精卵は普通、子宮の奥の子宮体部に着床するといわれています。

着床力を上げるには?

精子と卵子が受精し、子宮までたどりついて無事に着床するためには、様々な試練を乗り越えなければなりません。この段階までに染色体異常などにより受精がうまく行われない可能性もありますし、受精したとしても子宮内で着床できずに、卵管などに着床してしまえば子宮外妊娠となってしまいます。

着床力を上げるには、バランスの取れた食事、午前0時までには就寝し適度な睡眠時間を確保する、適度な運動をするなど、健康的な生活が望ましいことは言うまでもありません。また、身体の冷えを解消する、自律神経の乱れを整える、といった女性特有の悩みを解消することも、健康的な毎日を送るために必要といえます。そのためにも、基礎体温を記録すれば自分の体内リズムを認識できるだけでなく、必要なホルモンが分泌されているかも基礎体温表からある程度読み解くことができます。着床力を上げるには、不摂生はご法度といえそうです。

また、ストレスをできるだけ排除することも大切です。ストレスによる着床への影響は京都大学の研究チームにより、明らかにされようとしています。「母体ストレスが着床現象に及ぼす影響に関する基礎的検討」というマウスをつかった研究では、ストレスにより着床率が低下することが明らかになっています。

着所出血とは?

着床出血とは卵子の絨毛(じゅうもう)が子宮内膜を傷つけて起こる出血

妊娠がわかった時期と前後して、少量の出血が見られることがあります。これを着床出血と呼んでいます。着床出血は、医学用語としては「月経様出血」と呼ばれています。着床出血のプロセスですが、絨毛(じゅうもう)と呼ばれる卵子から生えているものが、子宮内膜の奥深くに進入していく過程で起こる出血といわれています。

着床出血のメカニズムについては、決定的な研究報告はありませんが、上記の受精卵の組織融解説が有力とみられています。それとは別に、ホルモンによる出血であるという説もあります。 妊娠すると、着床によりできた胎盤から、hcgホルモン(絨毛性ゴナドトロピン)が分泌されます。このホルモンによって、卵巣を刺激して妊娠を維持させるように働き、出血が起こらないという仕組みになっています。

人によっては、このhcgホルモンが不足してしまい、卵巣を刺激する力が弱く、卵巣からのホルモンが一時的に減ってしまうため、月経ほどではありませんが少量の出血が起こると考えられています。

着床出血を経験した人は、全体の13.8%といわれています。人によっては分からない、という方も22%程度おり、着床出血がなかったというケースも、64%にのぼります。着床出血は、全員に起こることではないといえます。

妊娠初期には、少量の出血があることがありますが、赤ちゃんへの影響は心配ないといわれています。しかし、妊娠初期の出血は流産とも結びつく繊細な問題なため、着床時出血かどうか自己判断は難しいといえます。少量の出血でも、かかりつけの産科へ早めに相談しましょう。

着床出血の期間はいつからいつまで?

着床出血は、受精卵が着床するタイミングで起こることから、次の生理予定日が来る頃に訪れることが多いようです。卵子と精子が受精したタイミングなので、前後することもありますが、排卵が起こってからおよそ一週間から10日程度で着床出血が起こるといえるでしょう。

着床出血が続く期間ですが、短い場合は2日から3日で終わることもあり、長ければ一週間程度続くこともあるといわれています。着床出血は生理のような出血といわれていますが、生理ほどの出血量はないようです。しかしながら、着床痛を感じる、と訴える人もいるため、この着床痛と着床出血がともに起こることで生理が来たと勘違いすることもあるようです。

どんな症状が起こる?

着床出血の場合、ごく少量の出血が起こるといわれています。生理と比べると出血量も少なく、期間も短いことがほとんどです。

着床出血とは別に、妊娠初期の症状として、異常な眠気や不眠、下腹部の痛み、お腹が張る感覚を訴える方もおり、これらは医学的にも認められる症状として知られています。着床出血でおこる症状というより、着床出血が起こる頃の妊娠初期症状として認識されています。

その原因としては、妊娠によるホルモンの変化、また妊娠による体の変化として子宮の拡張や子宮内に流れ込む血液量の増加により引き起こされるといわれています。しかしながら、いずれも医学的に完全に解明されているわけではないといわれています。

生理とどんな関係が?

着床出血の場合は、生理と比べると、出血量も少なく、出血の期間も短いようです。生理が軽い人などは、生理なのか着床出血なのか、区別がつかないということもあるようです。

着床出血は、月経時と比べて出血量は少なく、2~3日で治まることがほとんどです。この症状も特にトラブルにはつながらない妊娠初期の出血といわれていますが、妊娠初期には問題とされる流産などの出血もあるため、医師に伝え相談することが大切です。

超音波検査が今ほど進歩していなかった頃は、着床出血を月経と間違えて分娩予定日を間違えることが起こっていましたが、最近では超音波診断が進歩したため、その出血が着床出血であったと後日診断でき、予定日を誤るということはほとんどなくなりました。

着床痛とは?

着床痛とは受精卵が子宮内部へ入るときに感じる痛み

着床通とは、その言葉通り卵子と精子が受精し、その受精卵が子宮などに根を下ろし、子宮内部へもぐりこもうとする際に感じる痛みのことといわれています。医学的な定義や根拠などはなく、着床出血時そのような痛みがあったと感じる人もいるようです。

排卵から着床までに要する10日の間に出血がある人がいることは、確認されていますが、それに伴う痛みである「着床通」があることは考えにくい、といわれています。しかしながら、着床の過程については、かなり複雑なプロセスが相互に作用しあい、その時に作用する物質について解明されつつありますが、不明点が多いことも否めません。

いつからいつまで?

仮に、着床痛を感じるという前提で考えるならば、着床痛は着床が起こった時に感じるものと思われます。排卵が起こり、その3日以内に精子と卵子が受精し、その後7日かけて子宮内まで泳いでくるとすれば、排卵後から10日経過後くらいに着床痛が起こると考えられます。

その後3日から4日かけて受精卵は、子宮内膜の奥深くへもぐりこもうとします。着床痛があるとすれば、排卵後8日から12日の間に起こることが考えられます。

着床痛のメカニズムは?

着床痛のメカニズムは、今時点では解明されていません。よく聞かれるのが、着床通がチクチクする痛みである、ということがいわれています。これから推測すると、受精卵が繊毛を伸ばし、着床を開始してから子宮内膜深くへもぐりこもうとする際に、痛みが生じるのではないかといわれています。

しかし、これらのメカニズムが現代医学ではまだ解明されておらず、一般の方がその痛みが着床によって起こっているのか、その他の原因で起こっているのかを判断するのは難しいといわれています。妊娠初期の痛みには、流産などの要因も考えられるため、何らかの違和感がある場合には、医療機関を受診した方がいいでしょう。

対処法は?

着床通を防ぐ対処法はいまのところ明らかになっていません。しかし、着床痛、着床出血があっただけでは、妊娠に気づかないケースが多いようです。もし妊娠しているとしたら、早期に発見することが大切といわれています。着床痛のみで生理が訪れない場合には、妊娠検査薬を使用して妊娠の有無を調べてみることが大切といえます。

妊娠した際に、一般的に気を付けたいこととしてはバランスの取れた食事と睡眠、禁酒、禁煙、そして体の冷えを防ぎ温めること、ストレスをできるだけ防ぐこと、などがあげられます。

着床と共に起きやすい症状は?

吐き気

着床が起こる時期である妊娠初期にあたるタイミングでよくみられる症状は、つわりです。ニオイに刺激され食欲が低下し、吐き気を感じたり実際吐いたりと程度や症状は個々により差があります。

つわりの際によく気になったニオイとして挙げられるのが「ご飯の炊けるにおい」。魚を焼くにおいや洗剤類のにおいも気になって受け付けなくなったということもあります。食べられなくなった食べ物の中にはコーヒーや白ご飯、揚げ物などがあり、逆につわりを感じる期間に食べられるようになった食べ物としては、トマトやフライドポテト、梅干しなどが挙げられます。

つわりは、ひどくなると水分すら受け付けられなくなることもあり、そうなると母体の健康はもとより脱水症状になりやすいなど危険が伴うため、早めに医療機関へ相談した方がいいでしょう。

下痢

着床の時期にあらわれる症状としては、下痢や便秘もあげられます。これは妊娠によって母体のホルモンが激しく変化し、それに伴い下痢や便秘をしてしまうということがあるようです。人によっては、生理痛のような下痢の時のような痛みがあったり、下腹部あたりが痛み下痢が続くということもあるようです。

下痢により、お腹の赤ちゃんへ何か影響があることはないようですが、あまりにも長く下痢が続く場合には、おかあさんの体の脱水や栄養不足が心配されるため、水分補給はこまめに行った方がいいようです。

腹痛

着床とともに、妊娠初期の症状として特徴的な腹痛を感じることがあります。妊娠初期には子宮が大きくなりはじめ、骨盤内の充血が起こるために、腰痛が起こりやすいと考えられます。

下腹部に違和感や痛み、張り、うずくような痛みがある、ということがあるようです。個々により感じ方や差がありますが、生理前のような感覚が続くと認識することが多いようです。

胃痛

着床と同じ時期に、胃痛を感じる人もいます。妊娠初期の胃痛はつわりの症状のひとつといわれています。空腹による胃痛もあるため、少し食べたほうが楽になる場合は、食事の回数を増やし、量を減らすことで多少緩和されるようです。膨満感を感じるのも妊娠期の症状のひとつといわれています。それは、妊娠前より消化不良が起こりやすいためです。吐き気や胃のムカつきの他に、頭痛やめまいを感じることもあるようです。

便秘

着床時にともに起こる症状として、便秘が挙げられます。妊娠するとプロゲステロンというホルモンの働きにより、消化器平滑筋が弛緩します。加えて、子宮が大きくなることで、胃を圧迫するようになり、消化器の運動が低下するといわれています。

消化器運動が低下すると、食べ物が長い時間胃に留まる原因となり、便秘になりやすいといわれています。下痢とともにこれらの症状のどちらかがあらわれることもありますし、これらを繰り返すこともあるようです。

微熱が続く

着床痛とともにあらわれやすい症状としては、微熱があげられます。これは着床によって妊娠が成立すると、身体が高温期から低温期へ移行せず、ずっと高温期を示したままになります。生理前に感じられやすい症状が強くでることが多いため、熱っぽい、だるい、眠気が強いなどの症状があらわれ、生理前と勘違いしてしまうことも多いようです。妊娠初期症状と生理前症状の異なる点は、いつもよりそれら症状が重いこと、3週間以上続くことがあげられます。

着床前診断とは?

着床前診断と着床前スクリーニングの2種類に分類される

着床前診断は、着床前診断と、着床前スクリーニングの2種類に分類されます。前者は、夫婦のどちらかが遺伝性の病気の保因者である場合に受けるものといわれており、後者は、夫婦には原因の無い偶然起きる異常を調べるためのものといわれています。着床前診断は、妊娠が成立する前に検査することから、女性にとっても心身の負担が少ないと考えられています。

着床前診断は、現在の日本では、て重篤な遺伝性疾患を持つ人に限られ,追加要素として反復的に流産を繰り返してしまう(習慣流産)方に容認されています。

出生前診断と混同されがちですが、出生前診断は、すでに妊娠が成立した胎児の異常を調べる検査です。遺伝病や染色体異常を確定診断するために行われています。最も一般的な方法は羊水検査で、妊娠15週前後に羊水を吸引して、その中に含まれる胎児の細胞の遺伝情報を検査します。その他にも、妊娠11週前後に受けられる絨毛検査、超音波検査なども出生前診断のうちのひとつと考えられます。

着床前診断の方法とは?

着床前診断は、体外受精で生じた受精卵が育った段階で、一部の細胞を採取して、染色体や遺伝子の異常がないかどうか調べます。受精から3日めには受精卵は8分割卵になり、5日頃に胚盤胞と呼ばれる状態になります。この状態になった段階で細胞を採取して遺伝子または染色体の検査を行い、その結果によって、移植する胚を決めます。

胚盤胞は、赤ちゃんに育つ部分と胎盤になる部分とに分かれています。そのうち、胎盤になる部分から3〜5個の細胞を採取しても、着床率やその後の発育に影響がないということが米国の研究で判明しているといわれています。

着床前診断の費用

着床前診断の費用は、健康保険が適用されません。最新の医療技術を持って診断を行うため、診断に至るまでの卵子の採取状況などにより、費用は前後するようです。

一般的には体外受精の費用とは別途12万円から70万円の加算となることが多いようです。医療機関や検査方法により前後するため、詳細は病院へ確認しておきましょう。

着床前診断のデメリットと問題点

着床前診断を行うにあたって、体外受精から診断までの各ステップの問題点が指摘されています。まず、基本技術である体外受精の際に胚診断を行いますが、最終的に移植するための卵子のために、多数の卵子が必要となります。

このために、一般的には排卵誘発を行いますが、発育する数が少ない場合には検査が困難になることがあります。特に高齢の女性で生じる問題であることもあり、卵胞数が少ないとキャンセルとなることもあります。また、FISH法による着床前診断においては、不確実性や小さな変異を特定できない、認識できる遺伝子・染色体の数が限られる、などのデメリットもあります。

これらを踏まえると、着床前診断を受ける、受けないという選択、そのメリット・デメリットは十分に説明を受けた上で、カップルが納得して実施することが必要といわれています。

着床障害とは?

3回以上妊娠しないか化学流産した状態

着床障害とは、体外受精によって良好な胚(卵)を移植したにもかかわらず、3回以上妊娠しないか化学流産に終わった状態が「着床障害」と考えられています。

この十数年、不妊症治療は飛躍的な進歩をしていますが、体外受精や顕微授精などの技術(生殖補助医療)により、妊娠が可能となるケースが多くなりました。しかしながら、良好な受精卵は得られてたにもかかわらず、数回の体外受精治療を受けても妊娠できない場合は、「着床障害」により妊娠できないと判断されてしまいます。

着床障害の原因

着床障害もそうですが、不育症も含め、その原因は偶然的な卵の異常(染色体異常)か、ほぼ必然的な子宮内環境の異常(体と心)のふたつといわれています。

いくつかの複合的な原因が考えられるといわれており、ひとつの原因でそれまでの流産と移植不成功のすべてを説明できないとしています。偶然的な原因や、子宮内への化学的物理的ストレス、心への心理的ストレスによって、新たに必然的な原因が発生していることも考えられます。

着床障害の検査方法は?

着床障害の検査方法は、多岐にわたります。着床障害の原因を、精子および卵子を含む胚に関する要因、女性側の受け入れ要因(子宮因子、免疫因子)、カップルの組み合わせ要因(同種免疫因子)、染色体関連やさらには全身的要因(心理、栄養)について詳細な検査を行うクリニックもあります。

着床障害はその要因が多岐にわたるため医師、胚培養士、看護師および栄養カウンセラー、心理カウンセラーなど、あらゆる専門家がチームとなって原因究明を行うクリニックもあるほどです。

着床障害の対処法

着床障害の対処法としては、様々なアプローチ方法があるようです。胚盤胞凍結融解胚移植、SEET法、2段階移植法、レーザーアシステッドハッチング、DBT(胚盤胞2個移植)、子宮内膜日付診−ディレイド移植、特殊免疫検査、免疫療法、閉経療法などです。

これらは、良好胚の選択を高めたり、子宮内の着床環境を整えた上で胚盤胞移植を行ったり、二度に分けて胚移植を行ったり、様々な方向から着床へと進めます。プロセスやそれに伴うリスクなどを、これまでの経過も含めて総合的に判断することが大切です。医師と十分に相談・確認した上で検討した方がよいでしょう。

まとめ

受精から着床までは、かなり複雑な相互作用があることがわかりました。卵子が排出され、精子と受精することも奇跡的な出来事ですが、そこから着床までのプロセスは現代医学でもまだわかっていないことが多くあります。

また着床前診断については、個々のご家庭での考え方もあるでしょう。しかし、体外受精となる場合には着床にいたるまでの方法や、夫婦で出産するということについてかなり具体的に話し合う必要がありそうです。医療技術よりも前に、夫婦の考え方や方針に寄り添うようなカウンセリングをきちんと行うことがポイントといえます。

また、体外受精における着床障害はかなり複雑な要因が絡んでおり、一概にどれが原因と挙げられないところも辛い部分といえます。今では着床に至るまでの方法は医療技術の発達によりいくつか選択できそうですが、健康保険が利かない最先端医療となれば、費用面の問題もでてきます。

着床のメカニズムは、これから研究によって明らかになってくる部分もあるでしょう。妊娠したいときに妊娠できる、ごく自然なことがじつはとてつもなく複雑な構造で成り立っていることに、あらためて驚きを感じずにはいられません。

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